診療科目

呼吸器内科

Department

呼吸器系の病気では、せき(咳)、たん(痰)、息切れ(呼吸困難)、喘鳴(ぜんめい、ゼイゼイ、ヒューヒュー)、胸の痛みなどの症状がよくみられます。
これらの症状は、いろいろな病気で共通してあり、正確な診断には、症状や診察の他に、レントゲン、CT、呼吸機能検査、たんや血液検査が必要になります。
以下に、代表的な呼吸器疾患について解説します。


慢性の咳(せき)について


一般的に慢性の咳というのは正確には2ヶ月以上、少なくとも3週間以上を目安としています。
これには、かぜ症候群(急性上気道炎)後の咳(1-2ヶ月咳だけ残ることがあります)、気管支喘息、後鼻漏症候群(鼻水や副鼻腔炎の分泌物が喉の奥にたれこむ)、逆流性食道炎、ある種の降圧剤(ACE阻害剤)の副作用など多くの原因があります。
診断には詳しい問診の他、採血や痰の検査、胸部レントゲンやCTなどが必要となることがあります。


気管支喘息


アレルギーが基礎になって気管支の壁に炎症が起きて過敏に反応すること(気道過敏性)が原因です。
喘息の発作は、気管支の筋肉(平滑筋)がれん縮(収縮)して、気管支の粘膜がむくみ、分泌物が気管支につまることで気管支が狭く細くなり、空気が通りにくくなり呼吸が苦しくなります。
特に夜中には気管支が細くなりやすいため、発作が起こりやすくなります。
喘息発作は、自律神経のうち副交感神経が優位となる夜中から朝方にかけて、せき、喘鳴、呼吸困難が現れやすくなります。
喘息は、子供から成人、70才過ぎてからも初めて出てくることがあります。
喘息の治療は、世界的に治療ガイドラインが作られており、それに沿って行います。
また、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎などがある場合は、並行して治療を検討します。
アレルギーによる炎症を抑える吸入ステロイド薬を中心にした治療を行います。
治療の目標は、自覚症状がないようにするだけでなく、気管支の炎症を抑え、肺機能を正常化し、喘息がない人と同じように普通の生活が送れるようにすることです。
このため、症状がなくなっても、吸入ステロイドを中心とした治療はずっと続けます。


COPD(慢性閉塞性肺疾患)


喫煙歴のある中高年に多い病気で、タバコが主な原因です。
COPD( chronic obstructive pulmonary disease、慢性閉塞性肺疾患)は肺機能検査で診断されますが、主に、タバコによって、肺の組織が破壊されて肺がスカスカになる”肺気腫”と、”慢性気管支炎”で気管支の壁が厚くなる所見が併さった状態で、せき、たん、息切れ(呼吸困難)などが主な症状です。
レントゲン検査、胸部CT、肺機能検査が診断には必要です。治療の第一は禁煙です。
また、呼吸困難に対して気管支拡張薬の吸入薬(抗コリン薬・β2刺激薬)や内服薬などを使います。
十分な酸素が取り込めずに動脈血の酸素分圧が低くなってくると、自宅での酸素吸入を行うこと(在宅酸素療法)も必要となってきます。
また、動かないとさらに動けなくなるため、家に閉じこもらずに積極的に外出・散歩など行い、無理のない範囲で適度な運動をすることも大切です(リハビリテーション)。


気管支拡張症、慢性気管支炎、びまん性汎細気管支炎


いずれも気管支の慢性炎症により、せきやたん(特にうみのような膿性たん)が出る病気です。
進行すると気管支に菌が定着してしまい、時々感染状態が悪くなることがあります。
感染を繰り返すと気管支の破壊がより進み、さらに菌が定着し易い状態になるため、あまり気管支の破壊が進行しないうちに早めにマクロライド少量長期投与(クラリス=クラリシッド、エリスロマイシンなど)という治療法が効果的である場合があります。


間質性肺炎、肺線維症


肺の組織は本来柔らかいのですが、肺組織に線維化がおこり、肺が硬くなるため、酸素の取り入れが障害される病気です。
症状は、呼吸困難とせきです。
肺胞という壁が厚くなり酸素の取り込みが悪くなり、硬くなることで肺活量が落ちます。
原因不明のものからアレルギーによるもの、膠原病に伴うもの、薬剤によるものなどさまざまで、進行も、急に発症や増悪して命を奪うものから慢性にゆっくり進行して徐々に症状がでるもの、長期間変化がなく自覚症状もないものまで様々です。

従って個々の患者さんでどのタイプか見極めることが大切で、これには色々な検査が必要となります。
治療は副腎皮質ホルモン剤や免疫抑制剤が用いられますが効き目に差があり、確実に有効な治療はまだありません。
治療すべきか・治療の有効性が期待できるかなども精密検査で分かることもあります。
原因は不明のもの(特発性間質性肺炎、肺線維症)が多いですが、必要に応じて気管支鏡検査や外科的肺生検などで肺の組織を取って調べ、治療薬に反応するタイプかを確認してから治療を始めることもします。
必要に応じて在宅酸素療法を行います。


肺がん


現在、癌の中で一番死亡率の高いものの一つです。
タバコが大きな原因ですが関係のないものもあります。
初期では症状がなかなか現れにくいので、診断が遅れて根治的な治療ができにくいことが問題なので、出来るだけ早く発見、診断することが大切ですので、胸部の検診は数ヶ月ごとから毎年受けておくべきでしょう。
治療は、可能なものは外科手術を行います。
手術が出来ない場合は、全身化学療法(抗癌剤治療)、放射線療法が中心です。


肺結核


現在、癌の中で一番死亡率の高いものの一つです。タバコが大きな原因ですが関係のないものもあります。
初期では症状がなかなか現れにくいので、診断が遅れて根治的な治療ができにくいことが問題なので、出来るだけ早く発見、診断することが大切ですので、胸部の検診は数ヶ月ごとから毎年受けておくべきでしょう。
治療は、可能なものは外科手術を行います。
手術が出来ない場合は、全身化学療法(抗癌剤治療)、放射線療法が中心です。


非定型(非結核性)抗酸菌症


抗酸菌で結核菌の仲間で、20種類以上の菌の種類がありますが、結核菌(定型(典型的な)抗酸菌)と違って人から人への感染はありません。
進行性の場合は、菌種に準じた治療を行いますが、もともと薬が効きにくい耐性菌が多く、治療は長期化し、治療後も再発を良くします。
いろいろな条件により薬物治療を行うかを決めます。


睡眠時無呼吸症候群


夜間睡眠中の無呼吸、いびき音を起こし、昼間の眠気やひどい場合には突然死の原因になると言われています。正確に診断し、治療法を決めるためには、一泊入院して睡眠中の詳しい検査を行う必要があります。
治療はCPAP(continuous positive airway pressure)を毎晩装着して寝ることにより、呼吸が止まらないようにする方法が主体です。


肺炎球菌ワクチンについて


高齢の慢性肺疾患患者では細菌性肺炎を合併しやすく入院・死亡のリスクが高いことが知られていますが、中でも肺炎球菌は敗血症になる危険性も高く、一般の抗生物質に耐性菌も多く出現してきています。
肺炎球菌ワクチンは自費診療ですが一回の接種で約5年間効果が維持されますので、インフルエンザワクチンに加えて接種されることをお勧めします。


担当医


矢寺 和博(産業医科大学 呼吸器内科 教授)
日本呼吸器学会専門医、指導医
日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医、指導医
日本内科学会総合内科専門医、指導医
日本感染症学会感染症専門医
Infection Control Doctor
日本医師会認定産業医
産業医ディプロマ
白石 朝子(産業医科大学 呼吸器内科)
日本呼吸器学会専門医
日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医
日本内科学会総合内科専門医
日本がん治療認定医
JMECCインストラクター
ICLSインストラクター



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